「長時間座っていると足がむくむ」「夕方になるにつれてむくみやすい」など脚のむくみに対して悩みは多いと思います。特に女性の方は脚のむくみで悩んでいる方をよく耳にします。
むくみの原因は少なくとも10種類以上あり、原因の特定が難しいこともあります。今回はその中でも、「廃用性浮腫」に対しての原因や対策などをご紹介します。
廃用性浮腫の原因
廃用性浮腫は、活動性の低下や臥床時間が延長することで、筋肉のポンプ作用が不十分になり発生します。本来、肺や心臓へ戻るはずの血液が脚に停滞しむくみを引き起こします。
特徴
夕方になるにつれて、脚がむくみやすい現象が見られます。この現象を起立性浮腫と言います。人間は起床後、立位や座位で過ごすことが多いかと思います。成人が起立した状態では、心臓を起点として踵まで約130㎝程度ありますが、起立したままであれば重力の関係で脚に圧がかかり続けています。この状態では慢性的なうっ血状態が続く為、脚の筋肉を収縮させることで、重力に逆らって血液を心臓に戻す働きが生まれます。この筋肉を収縮させて血液を心臓に戻す作用を「下腿筋ポンプ作用」と呼びます。
夕方になるにつれて脚がむくみやすいのは、この下腿筋ポンプ作用の減退が有力候補となります。筋ポンプ作用以外にも、長時間座っていたり、脚を組んでいたりすることで、鼠径部や膝窩部にあるリンパ節が圧迫され続け、血液の流れが停滞し、むくみにつながることもあります。
対策
対策としてよく耳にするのが、ふくらはぎのトレーニングですが、これだけでは効果が半減します。対策として必要なのは、「順序」です。
まず、ポンプ作用を最大限に生かす為にも、リンパの通り道をつくる必要があります。身体にはリンパ管が張り巡らされていますが、リンパ管の道中には、大きなお部屋が存在します。それがリンパ節です。中でも大きいリンパ節が「頸部リンパ節」「腋窩リンパ節」「鼠径リンパ節」「膝窩リンパ節」の4つです。今回は脚のむくみなので、鼠径リンパ節と膝窩リンパ節に注目していきます。脚のむくみをとる為にはリンパの流れが重要です。しかし、このリンパが詰まっていると、いくらふくらはぎのポンプ作用を発動しても、うまく流れてくれません。まずは、リンパ節をマッサージする必要があります。マッサージの順番としては、鼠径部→膝窩部へ移行していく流れになります。マッサージの方法は手のひらを使い、鼠径部は大腿付け根の内側から外側に向かってなぞるようにマッサージします。膝窩部はふくらはぎから大腿後面に向かってなぞるようにマッサージします。これらを往復20回程度行った後に、運動を行うとむくみ改善の効果が上がります。
運動は、座ってできる運動を今回は紹介します。まず初めに、足指の運動です。指の運動は案外盲点となりやすいですが、脚の血流を上げる為には必要不可欠な運動になります。やり方は簡単です。床にタオル類を置き、そのタオルを足の指で握って離すのを10回繰り返すだけになります。タオル類がなければ、履いている靴下をタオル代わりに使用するのもいいと思われます。次にふくらはぎの運動に移ります。ふくらはぎの運動は基本足首を動かす運動になります。ふくらはぎには腓腹筋とヒラメ筋があり、腓腹筋は膝関節を伸ばした状態で足首を動かし、ヒラメ筋は膝関節を曲げた状態で足首を動かす作用となります。座った状態であれば、そのまま膝を曲げた状態で踵を上げるとヒラメ筋のトレーニングになります。そのまま踵を上げるだけでは負荷が足りないという方は、膝元に手を乗せ、膝元に体重を乗せながら踵を上げれば負荷をかけることができます。座った状態の腓腹筋トレーニングや寝た状態、立ちながらのトレーニング、またリンパマッサージの方法など、説明だけでは理解が難しい方は、是非当院へご相談にいらしてください。
注意
今回は廃用性の浮腫に対して、原因や対策を紹介しましたが、むくみには、心因性や腎性、炎症性や肝性など様々な要因がありますので、不安なことがあれば、当院の医師までご相談ください。