肛門鏡検査とは?

肛門鏡検査は、短い筒状の器具である肛門鏡を用いて、肛門や直腸の内部を直接観察する検査です。痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)、肛門ポリープ、さらには肛門がんといった疾患を発見することが可能です。これらの疾患は、初期段階では自覚症状が少ないことが多く、進行するまで気づかない場合があります。そのため、早期発見のためには肛門鏡検査が非常に有効です。
肛門鏡は滑らかで、挿入時に潤滑剤を使用するため、痛みや不快感はほとんどありません。検査自体は数分程度で終わり、患者様にかかる身体的な負担も少なく済みます。また、検査後も特別なケアや制限が必要ないため、日常生活にすぐに戻ることができます。
肛門鏡検査は、痔の症状を始め、肛門部の出血や痛み、違和感などの原因を特定するための基本的かつ重要な手段です。これらの疾患が重症化する前に対処することで、患者様の健康を守ることができます。検査への不安を軽減するため、当院では患者様に寄り添った丁寧な対応を心掛けております。お尻のトラブルでお悩みの方は、どうぞ安心してご相談ください。
肛門鏡検査を受けた方が良い人

- 排便時に出血が見られる方
- 便秘や下痢が続いている方
- 残便感がある方
- 下腹部にしこりを感じる方
- 便が細くなったと感じる方
- 腹痛や腹部の膨満感、吐き気がある方
- 体重減少が続いている方
- 便潜血検査で陽性と判定された方
肛門鏡検査で分かること

痔核(いぼ痔)
痔核は、肛門周囲の静脈が腫れてできるもので、内痔核(肛門の内側にできるもの)と外痔核(肛門の外側にできるもの)に分けられます。肛門鏡検査では、痔核の位置や大きさ、出血の有無を直接確認することができます。進行度に応じて治療法を選択するためにも、詳細な観察が重要です。
裂肛(切れ痔)
裂肛は、肛門の皮膚や粘膜が裂けることで起こり、排便時の痛みや少量の出血が特徴です。慢性化すると裂けた部分が硬くなったり、潰瘍を形成したりすることがあります。肛門鏡検査では、裂けている部位の場所や深さ、炎症の程度を詳細に観察します。また、治癒過程や慢性化している場合の合併症の有無も確認することで、治療方針を適切に決定することが可能です。
肛門ポリープ
肛門ポリープは、肛門内にできる良性の隆起性病変です。多くは無症状ですが、大きくなると違和感や便通異常を引き起こすことがあります。肛門鏡検査では、ポリープの大きさや形状、発生している部位を確認します。また、ポリープが複数ある場合や、大きさが一定以上の場合には悪性化のリスクがあるため、必要に応じて切除や病理検査を行う判断材料となります。
肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍は、肛門周辺に細菌感染が起こり、膿がたまることで生じる病気です。主な症状として、腫れや痛み、発熱を伴うことがあります。肛門鏡検査では、膿瘍の位置や広がりを正確に把握し、排膿処置や抗生剤治療の適切な計画を立てることが可能です。膿瘍が再発しやすい場合には、さらに詳しい観察や追加検査を行うこともあります。
痔瘻(あな痔)
痔瘻は、肛門内と皮膚表面をつなぐ異常な管(瘻孔)ができる疾患です。慢性的に化膿しやすく、治療には手術が必要になることが多い病気です。肛門鏡検査では、瘻孔の位置や数、膿がたまっている範囲などを確認します。
肛門がん
肛門がんは、肛門内に発生する悪性腫瘍で、早期発見が非常に重要です。初期には無症状で進行することが多いですが、出血やしこりなどの症状が現れることもあります。肛門鏡検査では、腫瘍の有無・大きさ・形状・色の変化などを確認し、がんの疑いがある場合にはさらに詳しい精密検査を行います。
肛門鏡検査を安心して受けていただくための当院の工夫

肛門鏡検査は「恥ずかしい」「抵抗がある」といった理由から、受診をためらう患者様も少なくありません。当院では、患者様が安心して検査を受けられるよう様々な配慮と工夫を行っております。以下に、その取り組みについて詳しくご紹介いたします。
プライバシーを重視した環境づくり
肛門鏡検査を行う際は、患者様のプライバシーを徹底的に守ることを最優先としています。専用の検査着を着用していただくことで、検査時の露出を最小限に抑え、必要な部分以外は隠れるよう工夫しております。また、検査室は完全個室としており、他の患者様やスタッフに見られる心配がない環境を整えています。
検査前の十分な説明とコミュニケーション
肛門鏡検査の流れや目的、痛みの有無などについて、検査前に丁寧にご説明いたします。患者様の疑問や不安にお答えし、ご納得いただいた上で検査を進めることを大切にしています。検査後も注意点や日常生活でのアドバイスを丁寧に説明し、何かご心配なことがございましたら、速やかにご連絡いただけるようなサポート体制を整えております。
痛みを最小限に抑えた検査
当院では、検査時の痛みを最小限に抑えるために、潤滑ゼリーを十分に使用することで挿入時の摩擦や不快感を軽減しております。さらに、患者様の状態に合わせて挿入角度を調整するなど、医師の熟練した技術と経験に基づいて検査を進めていきます。検査中も患者様の様子を常に確認しながら、必要に応じて声をかけ、リラックスしていただくよう努めています。
当院の肛門鏡検査の流れ
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Step01
問診
問診票を基に、医師が患者様のお話を直接伺います。症状の詳細や日常生活での困りごと、発症のタイミングなどを丁寧に確認します。この段階で検査の必要性や目的などをわかりやすく説明します。不安や疑問があれば、この時点でお気軽にご相談ください。
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Step02
検査準備
検査の際には、専用の検査着にお着替えいただきます。検査着は必要最低限の部分のみ露出するデザインで、プライバシーをしっかり守ります。また、検査台の温度や室温にも配慮し、リラックスできる環境を整えております。
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Step03
直腸指診
肛門鏡検査の前に、直腸指診を行います。手袋を着用し、潤滑ゼリーを使った上で指を挿入し、肛門周囲の状態を確認する検査です。腫れやしこり、痛みの有無を慎重に調べることで、より詳細な診断が可能となります。指診は数分で終了し、痛みを最小限に抑えるよう配慮しております。
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Step04
肛門鏡検査の実施
専用の肛門鏡を使用して肛門内を直接観察します。肛門鏡は潤滑剤を使用してゆっくり挿入するため、痛みはほとんど感じません。検査中は医師が進行状況を説明し、患者様に不安を与えないよう配慮しながら進めます。
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Step05
検査後の結果説明
診察室で医師が検査結果を詳しくご説明いたします。異常があった場合には、その内容や今後の治療方針、生活上の注意点を具体的にお話しします。また、追加検査が必要な場合には、適切なご案内をいたします。