胸やけとは

胸やけとは胸の中央部や喉元に焼けるような熱さや不快感を感じる症状のことを指します。特に食後や就寝前に症状が現れやすく、「胃酸がこみ上げてくる感覚」や「喉の奥がヒリヒリする」といった訴えが多いです。
胸やけは一時的なものもありますが、頻繁に起こる場合や症状が長引く場合は、胃や食道に何らかの異常が隠れている可能性があります。適切な治療と予防が必要です。
胸やけが発生する原因
食生活の乱れ
脂っこい食事や刺激物(唐辛子、アルコール、カフェインなど)は胃酸の分泌を増加させ、胸やけを引き起こしやすくします。また、食べ過ぎや就寝直前の食事もリスク要因です。
胃の圧迫
一度に大量に食べることで胃が拡張し、胸やけを起こすことがあります。便秘や肥満なども胃を圧迫します。食事の量に十分気を付けて、適度な運動を心がけましょう。
また、食後すぐは胃が拡張しています。夕食は早めに摂るようにし、できれば就寝の3時間前までに食事を終わらせるようにしましょう。
ストレスや生活習慣
ストレスは、胃の動きを低下させ、胸やけを引き起こすことがあります。また、潰瘍の発症にもつながる可能性があります。ストレス負担が継続的に続いている環境の方は、十分に睡眠を取り、心身の健康に気を付けて過ごすようにしてください。
胸やけと胃もたれの違い
胸やけと胃もたれはどちらも消化器症状ですが、原因や症状の感じ方に違いがあります。
項目 | 胸やけ | 胃もたれ |
---|---|---|
症状の部位 | 胸の中央部や喉元 | 胃のあたり(みぞおち付近) |
主な原因 | 胃酸の逆流 | 胃の消化機能の低下 |
感じる症状 | 焼けるような感覚、酸っぱい液がこみ上げる | 胃の重さ、張り、食べ物が残っている感じ |
発生タイミング | 食後すぐ、就寝時 | 食後、特に脂っこい食事の後 |
これらの違いを理解することで、適切な対処方法を選ぶことができます。
胸やけから考えられる疾患
胸やけは単なる消化不良ではなく、以下のような疾患のサインである可能性があります。
胃食道逆流症(GERD)
胃酸を多く含む胃の内容物が食道内に逆流して起こる病態を、胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease)といいます。
特に妊娠中、肥満、便秘などの方は、胃をはじめとした内臓に常に圧力がかかっている状態(腹圧が上がっている状態)ですので、胃酸が食道まで逆流し、胃食道逆流症になりやすいといわれています。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃酸が食道に逆流することにより、食道に炎症を起こす病気です。
酸っぱいゲップを繰り返すようだとこちらに該当することが多いです。
胃酸の逆流の時間が長くなると、食道の粘膜は胃酸に対し弱いため食道に炎症を起こすようになります。この病気は成人の10〜20%がかかっていると推定されており、中でも中高年、特に高齢者に多くみられます。
胃炎や胃潰瘍
胃酸過多や胃粘膜の防御機能の低下が原因で、胸やけを伴うことがあります。
バレット食道
慢性的な胃酸逆流が原因で、食道の粘膜が変化する病態です。進行すると食道がんのリスクが高まります。
その他の疾患
胆石症や膵臓疾患、さらには狭心症なども胸やけに似た症状を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
胸やけの検査方法
胸やけが頻繁に起こる場合や他の症状を伴う場合、以下の検査を行います。
内視鏡検査(胃カメラ)
食道や胃の粘膜状態を直接観察し、炎症や潰瘍、腫瘍の有無を確認します。
食道内pHモニタリング
食道内の酸性度を測定し、胃酸逆流の頻度や程度を評価します。
バリウム検査(消化管造影検査)
食道裂孔ヘルニアや食道の形態異常を確認するために行います。
その他の検査
必要に応じて血液検査や超音波検査を行い、他の疾患の有無を調べます。
胸やけの予防方法
胸やけを予防するには、日常生活で以下のポイントを意識することが重要です。
食生活の改善
- 脂っこい食事や刺激物を控える
- 一度に多量を食べず、適量を心がける
- 就寝前の食事を避ける
生活習慣の見直し
- 十分な睡眠とストレスケアを行う
- 食後すぐに横にならず、食後2〜3時間は体を起こしておく
- 腹部を圧迫しない服装を選ぶ
適切な体重を維持する
肥満は胸やけのリスクを高めるため、適切な体重管理が重要です。
禁煙・適度な飲酒
タバコは括約筋の機能を弱め、アルコールは胃酸分泌を促すため、控えることが望ましいです。