内視鏡検査とは

内視鏡検査は、先端に小型カメラを搭載した細長い管状の機器(内視鏡)を体内に挿入し、消化管内部を直接観察する検査です。食道、胃、十二指腸、大腸などの状態を詳細に確認し、病変の早期発見や診断が可能となります。
当院の内視鏡検査には上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)の2種類があります。胃カメラでは口や鼻から内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸を観察します。大腸カメラでは肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体や小腸の一部を観察します。
内視鏡検査は、消化器系の健康状態を把握し、適切な治療を行うために非常に有効な手段です。当院では内視鏡検査のみの予約も随時受け付けているので、お腹周りで何か気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
内視鏡検査を受けた方がいい人

- 便秘や下痢が続いている方
- 血便や下血がある方
- 慢性的な腹痛が続いている方
- 健康診断で便潜血反応が陽性だった方
- 家族に大腸がんの既往がある方
- 過去に大腸ポリープが見つかった方
- 体重減少や貧血症状がある方
- 喫煙者やアルコールの摂取量が多い方
- 35歳以上でこれまで内視鏡検査を受けたことがない方
内視鏡検査で分かること

食道がん
食道の粘膜に発生する悪性腫瘍で、早期段階では自覚症状がほとんどないことが多いです。内視鏡検査により、粘膜の異常や腫瘤を詳細に観察し、がんの早期発見が可能です。初期の小さな病変も検出できるため、治療の選択肢が広がります。
胃がん
胃の粘膜に生じる悪性腫瘍で、初期には症状がほとんどありません。内視鏡検査では、潰瘍や粘膜の異常、腫瘤を詳細に観察し、病変の早期発見が可能です。検査時には必要に応じて組織を採取し、病理検査を行うことで、がんの確定診断を行います。
大腸がん
大腸の粘膜に発生する悪性腫瘍で、初期段階では無症状のことが多いです。大腸内視鏡検査を用いることで、ポリープや腫瘍を直接観察し、がん化する前に発見・治療が可能です。内視鏡によるポリープの切除は、がんの予防にもつながります。
胃ポリープ
胃の粘膜に生じる良性の隆起性病変で、多くは無症状ですが、一部はがん化するリスクがあります。内視鏡検査では、ポリープの形状や大きさを確認し、必要に応じて切除します。良性でもがん化のリスクを防ぐために早期対応が重要です。
大腸ポリープ
大腸に発生する良性の隆起であり、長期放置することでがん化する可能性があるため、内視鏡検査での発見が重要です。ポリープの形状やサイズによってリスクが異なるため、検査中に適切に評価し、切除などの必要な処置を行います。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流し、食道粘膜に炎症を起こす疾患で、胸やけや呑酸などの症状があります。内視鏡検査を通じて、食道粘膜のただれや発赤などの状態を確認し、適切な治療を行います。
バレット食道
長期的な胃酸の逆流によって食道下部の粘膜が胃の粘膜に似た組織に変化する状態で、食道腺がんのリスクがあります。内視鏡で特有の粘膜変化を観察することで、リスクの高い状態を早期に見つけることができます。
食道静脈瘤
肝硬変などで門脈圧が上昇すると、食道の静脈が拡張し、食道静脈瘤を形成します。破裂すると大量出血を引き起こす可能性があるため、内視鏡で早期に発見し、必要な治療を行います。
胃潰瘍
胃の粘膜が深く傷ついて潰瘍を形成する疾患であり、みぞおちの痛みや吐き気、食欲不振などの症状を引き起こします。内視鏡検査を行い、潰瘍の範囲や深さ、出血の有無を確認することで、治療方針を決定します。
十二指腸潰瘍
十二指腸に生じる潰瘍で、胃潰瘍と同様の症状が見られます。内視鏡を用いて、潰瘍の範囲や深さを詳しく観察し、適切な治療を行います。潰瘍の原因がピロリ菌によるものである場合は除菌治療を行い、再発の予防に努めます。
ヘリコバクター・ピロリ感染
胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因となるピロリ菌の感染の有無を調べることができます。内視鏡検査時に粘膜を採取し、迅速に感染の有無を判定します。感染が確認された場合、除菌治療を行います。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍を生じる自己免疫性疾患で、下痢や血便が続く症状が特徴です。内視鏡検査で粘膜の炎症の広がりや重症度を確認し、治療方針を決定します。
クローン病
消化管全体にわたり炎症が生じる疾患で、腹痛、下痢、体重減少などの症状があります。内視鏡で炎症部位の範囲を確認し、治療方針を決定します。
大腸憩室症
大腸の壁に袋状の突出が形成される状態で、憩室が炎症を起こすと憩室炎を引き起こします。内視鏡で憩室の有無や炎症の状態を確認し、適切な対処を行います。軽度の場合は食事指導や薬物治療を行い、重度の症例では外科的治療が必要となることもあります。
過敏性腸症候群(IBS)
腹痛や下痢、便秘が繰り返し発生する機能性消化管障害です。内視鏡検査を行うことで他の疾患である可能性を除外し、IBSの診断を確定する手助けとなります。
内視鏡検査を行う必要性

早期発見・早期治療による救命効果
消化器がんは早期発見が極めて重要です。特に、食道がん、胃がん、大腸がんといった代表的な消化器がんは初期段階では自覚症状が現れにくいため、症状が出てからでは病状が進行しているケースが多く、発見が遅れると治療が困難になる可能性も高まります。
内視鏡検査は、早期がんの発見に非常に有効で、早期発見・早期治療によって救命率が大幅に向上します。また、早期であれば内視鏡的治療(切除など)で完治できる場合も多く、身体への負担が少ない治療で済む可能性も高くなります。
正確な診断による適切な治療
内視鏡検査では、消化管の粘膜の状態を直接観察し、組織を採取して病理検査を行うことができるため、炎症性疾患(食道炎、胃炎、大腸炎など)やその他消化器疾患の診断においても非常に有用です。視診だけでなく組織検査を行うことで、より正確な診断が可能となり、適切な治療方針を決定することができます。
精神的な安心感
内視鏡検査を受けることで、自身の健康状態を正確に把握し、精神的な安心感を得ることができます。「健康である」と確認できることは、日常生活における安心感につながり、QOL(生活の質)の向上にも繋がります。
当院の内視鏡検査における特徴

麻酔使用による内視鏡検査
内視鏡検査に対する「苦痛」や「不安」を少しでも和らげるため、当院では麻酔(鎮静薬)を使用した検査を実施しております。
苦痛や不快感の大幅な軽減
内視鏡検査は喉や胃の内部を直接観察するため、強い嘔吐反射や不快感を感じやすい方も多いです。しかし、麻酔をすることで、このような反射を抑え、よりリラックスした状態で検査を受けることができます。過去に検査で辛い経験をされた方や、心理的な負担を感じる方にも、安心して受診していただける環境を提供いたします。
精度の向上と詳細な検査の実施
患者様がリラックスした状態で内視鏡検査を受けることにより、医師は内視鏡の操作に集中でき、より精度の高い観察が可能となります。患者様の体動も抑えられるため、内視鏡の動きを制御しやすく、小さな病変や異常を見逃すリスクを低減することができます。また、検査時間の短縮にも繋がり、患者様への負担も軽減されます。
定期検査の受診を促進
麻酔によって痛みや不快感が軽減されることで、内視鏡検査を定期的に受診しやすくなります。内視鏡検査は消化器疾患の早期発見や予防に効果的ですが、痛みや不快感を懸念して検査を避ける方も少なくありません。しかし、麻酔を用いることで、そのような障壁を取り除くことが可能です。患者様に安心して定期検査を受けていただくことで、寿命延伸に繋がる健康管理のお手伝いをさせていただきます。
検査後はリカバリールームでの休息
検査が終了した後は、専用のリカバリールームにてゆっくりとお休みいただけます。このリカバリールームはプライバシーに配慮した半個室仕様で、周囲の目を気にせずに休息を取ることができます。さらに、デトックスティーをご用意し、水分補給をしながら心身をリラックスしていただけます。検査後の休息時間は、患者様が安全に帰宅できるよう体調を整えるために重要ですので、リラックスできる環境で心身の負担を和らげます。
検査後の丁寧なフォローアップ
内視鏡検査が終了した後は、検査結果の詳細な説明を行います。必要に応じて、病変の状態や今後の治療方針についても丁寧にご案内いたします。患者様の状態に合わせて、適切な治療計画や生活習慣の改善案を提案し、長期的な健康維持をサポートいたします。検査後の疑問や不安についても医師がしっかりと対応いたしますので、どんなことでもお気軽にご相談ください。
当院の内視鏡検査の流れ
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Step01
事前相談・カウンセリング
まず、患者様の症状やご希望を詳しくお伺いし、内視鏡検査の必要性や目的についてご説明いたします。検査に対する不安や疑問点がございましたら、遠慮なくご相談ください。
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Step02
検査前の準備
検査の種類に応じて、適切な前処置を行います。例えば、大腸内視鏡検査の場合、前日に消化の良い食事を摂取し、検査当日に下剤を服用して腸内を清浄にします。具体的な準備方法は、事前に詳しくご案内いたします。
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Step03
内視鏡検査の実施
内視鏡を挿入し、消化管内を詳細に観察します。検査時間は通常10〜20分程度ですが、個人差があります。検査中に異常が見つかった場合、必要に応じて組織の一部を採取(生検)し、詳しい検査を行います。
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Step04
検査後の休息
検査終了後は、リカバリールームにてデトックスティーで水分補給をしてお休みいただけます。この間に体調の確認を行い、問題がなければご帰宅いただけます。
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Step05
検査結果の説明
検査結果は当日または後日、医師から詳しくご説明いたします。異常が見つかった場合は、今後の治療方針や生活上の注意点についてもご案内いたします。疑問点や不安な点がございましたら、遠慮なくお尋ねください。