貧血の症状とは

貧血の症状は個人差がありますが、一般的に見られる症状にはめまいや疲労感、全身の倦怠感、頭痛、動悸、息切れなどがあります。
貧血になると、体内で十分な酸素を運ぶことができず、体がエネルギーをうまく作り出せなくなります。そのため、ちょっとした動作でも疲れを感じやすく、慢性的な疲労感や全身のだるさを感じることが多くなります。
また、脳への酸素供給が不足することで、めまいや立ちくらみを感じることがあります。これに伴い、頭痛が発生することもあり、特に長時間の活動や急な動きによって悪化することがあります。
さらに、心臓が酸素を全身に届けようとするため、動悸や息切れを感じることもあります。軽い運動や階段の昇降などでも息切れを感じ、体が思うように動かなくなることがあります。
これらの症状は、酸素不足により体全体が十分に機能しないことによって引き起こされるため、生活の質が低下することがあります。貧血の症状が続く場合は、早めに医師の診断を受けることが大切です。
貧血の原因

貧血はさまざまな原因によって引き起こされ、原因に応じた治療が求められます。
貧血を正しく理解し、適切な対処を行うためには、その原因を特定することが不可欠です。ここからは、貧血の代表的な原因とそれぞれの特徴について詳しく解説します。
1. 鉄欠乏性貧血
最も一般的な貧血で、体内に鉄が不足しているときに発生します。鉄は赤血球の主要な成分であるヘモグロビンの材料となるため、鉄分が不足するとヘモグロビンの生成が減り、酸素を運ぶ能力が低下します。特に月経のある女性や妊婦、成長期の子どもに多く見られます。
2. 出血
出血により急激に血液量が減ることで貧血が起こります。外傷による出血だけでなく、胃潰瘍や痔、月経過多など、長期間にわたる小さな出血が原因で貧血になることもあります。
3. ビタミンB12および葉酸不足
ビタミンB12と葉酸は、赤血球の生成に必要なビタミンです。これらが不足すると、赤血球が正常に作られなくなり、巨赤芽球性貧血(ビタミン不足性貧血)が起こります。食事や吸収障害が原因となることが多く、特に高齢者やアルコール依存症の方に見られることがあります。
4. 慢性疾患による貧血
慢性の炎症性疾患(関節リウマチ、がん、腎不全など)や感染症は、赤血球の生成や寿命に影響を与えることがあり、これが原因で貧血が起こります。基礎疾患の治療が必要です。
5. 溶血性貧血
赤血球が通常よりも早く壊されてしまう病態で、遺伝的要因や自己免疫疾患、薬剤の影響などが原因です。壊された赤血球が補充されるスピードに対して不足が生じるため、貧血状態に陥ります。
6. 骨髄の障害
骨髄での赤血球生成が抑制されると貧血が起こります。骨髄異形成症候群や白血病などの病気によって骨髄の機能が低下することがあり、この場合は血液疾患の専門的な治療が必要です。
貧血を引き起こす病気の種類

貧血はさまざまな病気や状態によって引き起こされることがあります。これらの病気は、赤血球の生成や機能に影響を与え、酸素供給が不足する結果、貧血を引き起こします。
ここでは、貧血を引き起こす主な病気の種類について紹介します。
1. 鉄欠乏性貧血
最も一般的な貧血で、体内の鉄が不足することによって発生します。鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの構成要素であり、酸素を運ぶ役割を果たしています。月経過多や消化管出血、妊娠、成長期に多く見られます。
2. 悪性貧血(巨赤芽球性貧血)
ビタミンB12や葉酸が不足することにより発生します。ビタミンB12と葉酸は赤血球の正常な生成に必要ですが、これらが不足すると、赤血球が異常に大きくなり、正常な赤血球が減少します。特に栄養不良や吸収不良を引き起こす胃腸疾患で起こりやすいです。
3. 溶血性貧血
赤血球が通常よりも早く壊されてしまう病気で、遺伝性のものや自己免疫性のものがあります。赤血球が壊れる速度が増すため、体が補充するスピードに追いつかず、貧血状態になります。
4. 再生不良性貧血
骨髄の機能が低下し、赤血球を含む血球全般が十分に作れなくなる病気です。原因としては薬剤の副作用やウイルス感染、化学物質の曝露、自己免疫の異常などがあり、突然発症することもあります。
5. 慢性疾患に伴う貧血
慢性的な病気も、赤血球の生成や酸素運搬能力に影響を与えるため、貧血を引き起こします。この場合、根本的な原因である病気の治療が必要です。
6. 腎性貧血
慢性腎不全などの腎臓病で起こる貧血です。腎臓はエリスロポエチンというホルモンを分泌し、これが赤血球の生成を促しますが、腎機能が低下するとエリスロポエチンの分泌が減少し、赤血球が十分に作られなくなります。
7. 血液のがん(白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群)
血液や骨髄のがんは、赤血球の生成を妨げたり、正常な血液細胞を置き換えてしまうため、貧血が発生することがあります。
貧血の検査

貧血の診断は、血液検査で行います。血液中の「赤血球数」「ヘモグロビン」「ヘマトクリット」の数値を測定し、これに基づいて貧血の有無を確認します。赤血球は酸素を運ぶ役割を果たす細胞で、ヘモグロビンはその中に含まれる酸素運搬のためのタンパク質です。また、ヘマトクリットは血液全体に占める赤血球の割合を示しています。
貧血の診断における基準値は年齢や性別により異なりますが、一般的には、ヘモグロビン量を目安に軽度・中度・重度の貧血に分類されます。軽度の貧血はヘモグロビンが10〜12g/dl、中度は7〜9g/dl、重度は4〜6g/dlが目安とされています。血液検査は比較的簡単に行えるため、貧血が疑われる場合には、早期の診断と適切な治療が重要です。
貧血の治療

貧血の治療においては、まず貧血の原因を特定することが非常に重要です。貧血が他の病気に起因している場合、その病気を適切に治療することで貧血の症状も改善されます。例えば、慢性疾患や血液の疾患が原因である場合には、その基礎疾患の治療が優先されます。
一方、食生活が原因で貧血が発生している場合、特に鉄分やビタミンB12、葉酸の不足が貧血を引き起こすことが多いため、これらを補うことが最も効果的な治療法となります。鉄分は、内服薬やサプリメントを使用して補給することが一般的で、通常1〜2週間ほどでヘモグロビン量が増加し始めます。しかし、途中で服用を中断すると、貧血が再発しやすくなるため、治療を継続することが重要です。通常、鉄剤は3〜4か月程度服用し続けることが推奨されています。
また、鉄剤の内服による副作用がある場合には、注射やシロップ剤など、より体に優しい方法で鉄分を補うこともあります。注射や点滴での鉄補充は、吸収が速く、特に鉄欠乏が重度の場合に効果的です。
治療を中途半端に終了せず、医師の指示に従い、必要な期間継続的に治療を行うことで、貧血の改善と再発防止が可能になります。また、食生活の改善として、鉄分が豊富な食品を積極的に摂取することも貧血予防に効果的です。