便秘
便秘とは何かしらの原因で、便が腸の中に長く停滞してしまう状態です。一般的に、「3日以上排便がない状態、または毎日排便があったとしても残便感が残る状態」や、「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」が便秘と定義されています。つまり、定期的な排便があっても残便感(便が出切らずにスッキリしない感じ)がある方も便秘に含まれます。さらに便秘の状態が6か月以上前から続き、少なくとも最近3か月間その状態が続いている場合は「慢性便秘症」と診断されます。便秘はお腹の張りや腹痛、吐き気、食欲不振などの症状を引き起こすことがあり、また背景に深刻な病気が潜んでいることもありますので専門医への相談をお勧めします。

原因
便秘には非常に多くの原因がありますが、まず大きく腸の機能が問題となる「機能性便秘」と病気が原因で物理的に便が排出しづらくなる「器質性便秘」に分けられます。
【機能性便秘】
便の通り道である腸に形態的な異常がない場合の便秘症です。
- 偏った食事内容や運動不足といった食事・生活習慣の乱れ
- 水分摂取量の不足
- 腸内環境の乱れ
- 向精神薬をはじめとする様々なお薬の副作用による腸蠕動の低下(薬剤性便秘)
- サルコペニア(加齢に伴う筋力低下)による便の排出力(腹筋力)の低下
- 神経系の病気(自律神経失調症・パーキンソン病・脊椎損傷等)による腸の運動障害
- 糖尿病や甲状腺機能の異常などの内科系疾患
- 様々なストレス(過敏性腸症候群)
- 肛門括約筋の異常(機能性便排出障害)
また近年ではSIBO(小腸内細菌異常増殖症)と言われる疾患概念も便秘症の一因となっている可能性が指摘されています。
【器質性便秘】
病気が原因となって、大腸から肛門までの通路に通過障害(狭くなるもしくは閉塞する)が起こることによる便秘です。
- 大腸がん(結腸がん、直腸がん)
- 肛門管がん
- クローン病(炎症性腸疾患)
- 手術後や炎症後の癒着や狭窄
- 巨大結腸症
- S状結腸軸捻転
- 肛門狭窄
- その他
検査
まずは問診で生活習慣や症状について伺います。詳細な検査が必要な場合は大腸の内視鏡検査を行い、器質性便秘の原因がないか確認を行います。診察所見や検査結果に応じて適切な治療法をご提案させていただきます。また、背景に内科系の疾患が疑われる場合には別途で血液検査等を行うことがあります。腸内環境の問題が疑われる場合には腸内フローラ検査を行う場合もあります。
治療
症状や原因に応じて様々な治療法をご提案させていただきます。
食事・運動療法
食生活や生活習慣が原因と考えられる場合には適切な食事指導や運動療法プログラムによる治療を行います。それぞれ管理栄養士と理学療法士にも介入いただき、適切な状態へと導きます。サルコペニアなど筋力低下についても適切な指導で改善を目指します。また腸内環境に問題がある場合には腸内環境改善を目的とした食事や各種の治療をご提案させていただきます。
薬物療法
症状や便の状態等により、各種の薬剤を用いた治療を行います。過敏性腸症候群便秘型の場合には下剤以外にも消化管運動調節薬を使用することがあります。
器質性便秘の場合
大腸がん等が原因で便秘となっている場合は病状が進行して重篤な場合が多く、専門的な治療が必要となるため、適切な医療施設をご紹介させていただきます。