male-menopause男性更年期障害

男性更年期障害とは

男性更年期障害は、加齢に伴うテストステロンの減少が原因で、主に40代〜50代以降に発症することが多い症状です。

症状としては、疲労感や気力の低下、イライラや不安感、さらには性欲減退や筋力低下など、心身両面での不調が現れます。

男性更年期障害の症状

男性更年期障害の症状は、身体的・精神的な不調や生活全般に影響を及ぼすものがあり、特に加齢に伴うテストステロンの低下によって引き起こされます。

主な症状について詳しく説明します。

身体的な症状

◆ 疲労感・倦怠感: 特に何もしていなくても疲れやすくなったり、朝起きるのが辛く感じたりすることがあります。休息をとっても疲労が抜けにくく、日常生活に支障をきたすこともあります。

◆ 筋力低下・筋肉量の減少: テストステロンの減少によって、筋肉の維持が難しくなり、筋力が衰えることがあります。その結果、運動や重い物を持つのが大変に感じられることも。

◆ 体脂肪の増加・メタボリックシンドローム: 脂肪がつきやすくなり、特に内臓脂肪の増加につながりやすくなります。これにより、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが増大します。

◆ 睡眠障害: 眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めたりすることが増え、不眠症に悩む男性も少なくありません。

◆ 発汗・ほてり: 顔や体が急に熱くなる、汗をかきやすくなるなどの症状が見られます。これは、女性の更年期障害にみられる「ホットフラッシュ」と似た症状です。

◆ 性機能の低下: 性欲の減退や勃起不全(ED)など、性機能の低下が顕著になります。テストステロンの低下が直接的な原因となっており、性生活に影響が出ることもあります。

精神的な症状

◆ 気分の落ち込み・抑うつ症状: 男性更年期の影響で、何も楽しめない、やる気が出ないと感じることが増え、うつ症状が現れることもあります。

◆ イライラ・怒りっぽさ: 精神的に不安定になり、些細なことでもイライラする、怒りっぽくなることが多くなります。これは、ストレスやホルモンの変化が影響していると考えられています。

◆ 不安感: 理由もなく不安を感じたり、心配しすぎてしまう傾向が増えることもあります。

◆ 集中力・記憶力の低下: 以前に比べて集中力が続かない、物忘れが増えるなど、認知機能の低下が見られることもあります。

◆ 仕事や日常生活での意欲低下: 日常のことや仕事に対する意欲がなくなり、普段はできていたことが億劫に感じることも。また、コミュニケーションが面倒に感じることから、人との関わりを避けようとする傾向もあります。

男性更年期障害の治療法

男性更年期障害の治療は、主に

初診・診断 → カウンセリング → テストステロン補充療法や薬物療法 → 生活習慣の改善

という流れで行われます。

男性更年期障害治療の流れ

  • Step01

    初診と診断

    まず、症状が更年期障害によるものかを判断するために、問診と検査が行われます。

    医師が、疲労感、性欲減退、気分の落ち込み、睡眠障害など、具体的な症状について尋ねます。また、症状がいつから始まったか、日常生活にどのように影響しているかを把握します。

  • Step02

    血液検査

    更年期障害の原因であるテストステロンの減少を確認するため、血中の総テストステロン値や遊離テストステロン値を測定します。テストステロン値の低下が確認された場合、他の疾患が原因でないかも含めて更なる検査を行うこともあります。

  • Step03

    カウンセリング後に治療開始

    診断後、医師や専門のカウンセラーが患者に症状の原因や治療の選択肢について説明します。テストステロン療法と下記を並行して行うケースが殆どです。

  • Step04

    心理的サポート

    男性更年期障害に対する不安や疑問を解消するために、カウンセラーが心理的なサポートを提供します。ストレスや不安を軽減し、生活の質の向上を目指します。

  • Step05

    生活指導

    食生活や睡眠、運動など、生活習慣の改善についてアドバイスします。特に、適度な運動はテストステロンの分泌を促進するため、ウォーキングや筋力トレーニングが推奨されます。

テストステロン療法

テストステロン補充療法(TRT)

テストステロン値が著しく低い場合、テストステロン補充療法(Testosterone Replacement Therapy:TRT)が行われることがあります。この治療は医師の指導のもとに進められ、以下のような方法があります。

注射

テストステロン製剤を筋肉内に注射します。数週間ごとに投与が必要ですが、持続的な効果が期待できます。

ジェルやクリーム

テストステロンを含むジェルを皮膚に塗布する方法です。毎日の塗布が必要ですが、自宅で簡単に使用でき、少量ずつホルモンが吸収されるため、副作用が出にくいとされています。

経口薬

テストステロンの錠剤もありますが、経口で摂取すると肝臓に負担がかかる場合があるため、注射やジェルに比べると使用頻度は少ないです。

クロミフェン

クロミフェン(クロミッド)による治療は、男性更年期障害の治療法の一つとして用いられる場合があります。クロミフェンは、元々は女性の排卵誘発剤として開発された薬ですが、男性の場合、テストステロン分泌を促進する働きがあるため、特にテストステロン値が低下している更年期男性に適用されることがあります。

クロミフェンが向いている人

  • 自然にテストステロンを増やしたい男性
  • 将来子供を持つ可能性がある男性(TRTに比べて精子数に影響が少ないため)
  • 比較的軽度のテストステロン低下による更年期症状がある男性

その他の薬物療法

テストステロン補充療法以外にも、以下の薬物療法が症状に応じて用いられることがあります。

  • 抗うつ薬や抗不安薬: 気分の落ち込みや不安が強い場合、これらの薬を一時的に使用して、精神的な症状を緩和します。
  • 睡眠導入剤: 睡眠障害がひどい場合に、一時的に使用されることがあります。生活習慣の改善と並行して行われ、依存を防ぐために定期的な見直しが行われます。

定期的なフォローアップ

治療を始めた後も、定期的なフォローアップを受けることが重要です。

テストステロン値のモニタリング: 補充療法を行っている場合は、定期的にテストステロン値を測定し、ホルモン量を調整します。

症状の評価: 治療の効果や副作用を確認するために、定期的な診察で医師が症状の改善度を評価し、必要に応じて治療内容を見直します。

男性更年期障害の治療は、テストステロン補充療法を含む医学的なサポートと、生活習慣の改善の両面から行われます。男性更年期障害の症状は他の疾患と似ていることも多く、診断が難しいこともあります。しかし、早期発見と治療によって、生活の質(QOL)が向上する可能性があります。

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