胃もたれとは
胃もたれとは胃がスムーズに食物を消化できず、胃の中に停滞感や不快感を感じる状態を指します。
特に食後に「胃が重い」「膨らんでいる」「食べたものがいつまでも残っている気がする」といった感覚を伴うことが特徴です。症状は一時的なものから慢性的なものまであり、生活習慣や病気が原因となることがあります。
胃もたれは誰にでも起こりうるものですが、頻繁に症状が出たり長引いたりする場合は、消化器疾患が隠れている可能性があります。
胃もたれの原因
胃もたれの原因はさまざまですが、大きく分けると以下のような要因が挙げられます。
食生活の影響
脂っこい食事や揚げ物の摂取、過食、偏食は胃に負担をかけます。また、アルコールやカフェインの摂取量が多いと、胃酸の分泌や胃の動きが乱れ、胃もたれを引き起こしやすくなります。
ストレスや生活習慣
過度なストレスや睡眠不足が続くと、自律神経が乱れ、胃の働きが低下します。また、運動不足や不規則な生活リズムも胃腸機能を低下させる要因です。リモートワークが日常的になった現在、上記が原因で胃もたれが慢性化したというご相談もよく受けます。
加齢
加齢による胃の動きの低下や、胃酸・消化酵素の分泌不足も胃もたれの原因となります。高齢者では特に注意が必要です。
消化器疾患による影響
胃炎や胃潰瘍などの消化器疾患がある場合、胃の動きが妨げられたり、胃酸のバランスが崩れたりして、胃もたれが生じることがあります。
胃もたれの症状を起こす消化器疾患
胃もたれを引き起こす可能性のある代表的な消化器疾患を以下に挙げます。
急性・慢性胃炎
胃粘膜が炎症を起こす疾患で、胃の機能が低下します。ストレスやピロリ菌感染、不規則な生活が原因となることが多いです。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃酸や消化酵素が粘膜を傷つけることで、胃や十二指腸に潰瘍が形成されます。症状として胃もたれに繋がるケースがよく見られます。
胃がん
初期症状として胃もたれや食欲低下が見られる場合があります。進行するまで自覚症状が少ないため、定期検診を受けることが重要です。
胆石症
胆のう内に結石ができる疾患で、胆汁の流れが妨げられることで脂肪の消化が悪化し、胃もたれを感じることがあります。
慢性膵炎や膵がん
膵臓の機能が低下すると、脂肪分解に必要な消化酵素が不足し、消化不良や胃もたれを引き起こします。
胃もたれの検査方法
胃もたれが続く場合、早めに医療機関を受診して原因を特定することが大切です。以下のような検査が行われます。
内視鏡検査（胃カメラ）
胃の内部を直接観察し、胃炎や潰瘍、腫瘍の有無を確認します。
腹部超音波検査
胆石や膵臓の異常を調べるために行われます。非侵襲的な検査で体への負担が少ないのが特徴です。
血液検査
炎症や感染症の有無、膵臓や肝臓の機能評価を行います。
ピロリ菌検査
胃炎や胃潰瘍の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の感染を確認する検査です。
胃もたれの予防方法
胃もたれを予防するためには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。以下のポイントを意識しましょう。
1. バランスの良い食事
脂っこい食事や刺激物（辛いもの、カフェインなど）を控え、消化に良い食材を取り入れましょう。食べ過ぎを避け、ゆっくりよく噛んで食事することが大切です。
2. 規則正しい生活
十分な睡眠をとり、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。また、適度な運動を取り入れることで胃腸の働きを促進できます。
3. 喫煙・適度な飲酒を控える
タバコや過剰なアルコール摂取は胃粘膜を傷つけ、胃もたれを引き起こす原因となります。これらを控えることが予防に繋がります。
4. 定期検診を受ける
胃がんやピロリ菌感染などの早期発見のため、定期的に内視鏡検査を受けることが推奨されます。
5. ピロリ菌を除去する
ピロリ菌感染検査で陽性の場合には、除菌治療をお勧めしています。除菌治療に成功すると再発を繰り返しやすい胃の炎症や潰瘍の再発率が大幅に下がります。当院では、ピロリ菌感染検査や除菌治療を行っています。
